2枚とも・・・

この間摺り直した「金沢 ひがし茶屋街」の作品を眺めていると
空の色が気になって来て仕方なくなってきた。


北陸の寒々とした雰囲気を出す為に空の部分だけ黒墨を薄く塗ったのだが、
糊の量が充分でなかったせいか、乾いて来るほどに斑模様が出てきてしまった。


これでも雰囲気は出ているとは思うのだが、
一旦気に掛かりだすと治まりが付かない。


もう一度摺り直す決心をして昨夜の内から和紙を2枚湿しておき、
今朝から2回目の本摺りに挑戦した。


今回は空の色出しに神経を使うと共に、
他の色も細心の注意を払って仕上げて行き、
自分でも驚くほどの満足いく色摺りとなったのだが、
最後の最後になってチョット欲張り過ぎて、
もう少し北陸の雰囲気を出した方が良いのではと思い
全体的に薄墨を塗ったところ、
白い窓の個所に2枚とも黒墨が落ちてしまった。


修正が効かないだけに折角の摺りがパーとなってしまった訳である。


余分な事をしてしまった事を悔やんでも仕方がないのだが、
ある程度の満足感が得られれば、そこで完成と納得させる勇気も大事と云う事を今回ほど思い知った。