初曳きは

元旦の朝、昨年夏から時々依頼を受けている地引網の網元から電話があり、「今日初曳きをやるので来ないか」と誘われていた。

深夜物凄い風音を夢うつつで感じていたが、目が覚めた時は風も止んでいたので、朝のウォーキングを一時間後にずらして出掛け、そのまま約束の七時に船小屋まで足をのばした。

既に七人が浜木のたき火を囲んで集まっており、新年のあいさつを交わしたのだが、何かみんな元気がない。

暫くしてその理由が理解できた。

風はやんでいたのだが、波が大きくうねり、しかも岸辺に音を立てて押し寄せてきているのである。

海岸まで出てウォーキングまでしているのに、波の高さまでは気がつかなかった。

やがて網元も出てきて、「この波では船を出す訳には行かないので、今回は船小屋でお神酒を呑んで終わりにしよう」との事で、やっとみんなが浮かぬ顔をしているのが理解できた。

その後、さらに集まって来た方々を含め、総勢12名で酒盛りが始まった。

実は初曳きと云う事から昨夜のうちにお祝い用として一升酒を買い、これを持参したのだが、このお酒を含めて他の人のビールやお酒、それにおつまみ等で2時間程度賑やかに呑み交わした。

魚は獲れなかったが、僕にとっては地元の情報が色々と聞けて有意義な時間となった。